「こういうモノはマインド・マップではない」と公式本に明確に否定されている形をあえて「マインド・マップにしりごみしている人びとへ」と勧める「自己流マインド・マップのすヽめ」本。
目次
書誌情報
書名:あなたの目的を最短時間で達成する 仕事に活かす!マインドマップ®
著者:主藤孝司
ジャンル:ビジネス書
図書分類:336 : 経営管理
とりあえず始めてみることの大事さ
本書は邦人によるマインド・マップの副読本である。「ザ・マインドマップを読み終えたけど、実際やるにはなんだか難しそうだなあ」としりごみしている人こそ読むべき初心者本になる。
本書で中心的に取り上げていく「自己流マインドマップ」は、マインドマップ開発者であるトニー・ブザン著の『ザ・マインドマップ』(ダイアモンド社)にて「マインドマップでないマインドマップ」として明確に否定されていることをあらかじめお断りしておきます。
仕事に活かす!マインドマップ
とはじめに記されているように、本書はもっぱら「細かいルールはおいといて、まずメモ書きにマインドマップをつかおう」という趣旨で書かれている。
4種類のマインド・マップ
著者は四分割ダイアグラムを用いてマインド・マップをいくつかに分類している。ここでは
- 仕事・学習活用目的
- 商業利用目的
のふたつをそれぞれx軸・y軸として
- 商品型
- 評価型
- 作品型
- 手段型
の4つに分類できるとしている。そして著者が勧めるのが4つめの「手段型マインド・マップ」であり、つまり「誰に見せるわけでもない自分のためだけのマインド・マップなのだから、好きにかけばいい」という主張である。
「絵心がないからセントラル・イメージが描けない」「カラーペンがないから今かけない」「例として挙げられてるようなキレイなマインド・マップに仕上げられないからかけない」など、初心者が陥りやすい心理を認め、だからこそまずは自由にかけばいいと背中を後押しする。メインブランチも太くしなくてよいなど、かなりラディカルなアドバイスもある。
非公式の方法であるが、いくつか参考になる点がある
ブザン教育協会の定めるマインド・マップにはいくつかルールがあるが、そこには含まれていないが本書で勧められている「マインド・マップをかく際の決めごと」にはいくつか取り入れるべきポイントがある。
- 日付をいれる。できるならかいた場所や時間の情報もいれる。「なぜこういった思考に至ったか」があとでトレースできる
- 下書きのようなマインド・マップを改訂したら、古いマインド・マップもホチキスでいっしょに留める。思考の過程がわかる
- メインブランチから大きく発展したアイデアは、それをセントラルイメージに新たにマインド・マップを書き起こす
これらはつまりgithub(ソフトウェア開発のためのプラットホーム)と同じ思想になっている。つまり、
- タイムスタンプ管理。時系列を追えるようにする
- リビジョン管理。修正箇所がわかるようにする
- フォーク管理。分岐したさいに別プロジェクトにする
とすることで、散逸しがちな知的生産物の管理を容易にすることができる。
ビジネス書としては堅実な部類
後段はマインド・マップの実用例と、いくつかのビジネスタームの定義による能率化の話題がつづく。すぐに実践できるような内容なのでビジネスパーソンの副読本としてもつかえるだろう。