放射思考という考えから「脳力を最も効率的に引き出すノート法」とその応用をまとめたマインド・マップ最初の書籍。
目次
書誌情報
書名:人生に奇跡を起こすノート術 マインド・マップ放射思考
著者:トニー・ブザン
ジャンル:ノート術
NDC(9版): 141.5 : 普通心理学.心理各論
最初のマインド・マップの書籍
トニー・ブザンのマインド・マップである。2000年に登場し、「脳力を最も効率的に引き出すノート法」として瞬く間に知的生産界隈を席巻した。
基本構成は他の書籍と同じ
全5章の構成になっている
第1章 脳には無限のパワーが眠っている
「いままでのノートの取り方はダメ」「脳はこういう使い方をするべき」といった内容。
第2章 マインド・マップで脳力を全開させよう!
「ミニ・マインド・マップ」という名称でとにかく手軽に始める方法。
第3章 放射思考を強化して、全脳力を十分に発揮する
本格的な「フル・マインド・マップ」の作成方法。それと「こういうマインド・マップはよくない」といった注意点。
第4章 目的別マインド・マップ・テクニック
二者択一の決断をするための「ダイアティック・マインド・マップ」、他人の考えを整理するための「ポリカテゴリック・マインド・マップ」、自分の記憶を整理するための「記憶用マインド・マップ」、創造的思考を促すための「速射マインド・マップ」、そしてグループ学習のための「グループ・マインド・マップ」。
第5章 マインド・マップを自在に使いこなす応用編
その他、実践のための「個人用マインド・マップ」「家族用マインド・マップ」「教育用マインド・マップ」「仕事用マインド・マップ」、さらにコンピュータ上で利用するためのソフトウェアの紹介。
「放射思考」というキーワード
全章にわたって著者は「脳は放射的な思考(中心にある概念から次々と関連概念が広がる形態)をしているからノートもそのようにするべきだ」と主張する。そこに色やイラストを含めることで「全脳(右脳も左脳も同時につかう形態)が発揮される」と主張を重ねる。このあたりは今泉浩晃氏の「マンダラート」と思想が似ている。
最初期の本なので主張を補強する例示が多い
本書の内容は後の書籍とさほど変わらず、つまりマインド・マップ本はこの時点でずいぶんと完成しているのだが、やはりまだ知名度が低いからであろう、理論やテクニックの説明のあとにこれでもかと具体的な成功事例を盛り込んである。すべて「誰それさんはマインド・マップによってこれこれのことができるようになった」という形だが、折々にその「成功体験」を挟み込むことで読者に「これなら自分もうまくいくかも…!」と思わせる構成だ。
マインド・マップを実践するなら最近の小冊子で充分
というわけで、もしマインド・マップをまだやってみたことがなくこれから実践してみたいという人であれば、この本でなくてもより新しい小冊子型の書籍でも充分にテクニックを習得できる。この本はあのマインド・マップを世に送り出した最初期本を読んでみたいという一部の人間にだけおすすめしておこう。